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外部関係者様8号です。「お楽しみ頂けますデショウカ?」「期待はしてるかな。」 [絡み]

久しぶりの関係者紹介です。

さめ宗家めぐ様宅かいのしん氏がクラウン・クラウンにお仕事をくださいました。
お店での営業だそうですよ。
お仕事日照り気味なのでありがたい限りです。

お店は色々制約があってなかなか難しいと聞いたのですが、さてクラウン・クラウンはうまくやっているのでしょうか?
…割とその辺要領がいいので大丈夫かな。

というわけで、関係者様ができると出て来る駄文と絵です。
やめてもいいんだけどやっぱり書きたいのでー(迷惑)。
さめ宗家めぐ様に捧げます。


今回は絵に苦労したとかなんとかー!
店のコンセプトとかよくわからないって悩んだ末に描き込み一切ナシ!白っ!
文の一部にどこかで見たような光景が出てくるよ!
くらりすー!!


*** *** ***

おおー。
つい口には出して最後に一個高く上がったボールを目で追いかける。
その真下の派手な衣装を着た大道芸人はその場でくるっと身軽にターンすると、重力に従って落ちてきたボールをなんなくキャッチしてポーズを決めた。
拍手が起こる。
つられてかいのしんも買出しの紙袋を抱えた手で拍手を送っていた。
大道芸人は喝采を浴びて大満足、というパントマイムを大げさに繰り返してから近くにあったスケッチブックを閉じると、深く三方向に礼。どうやらショーは終わったようだ。

「面白かったー。」

「ねー、あの風船ほしいー!」

「一緒に写真撮ってもらおうよー。」

様々な声が響きながら三々五々と街中へ散って行く観客を見ながら、かいのしんはその集客力に純粋に感心していた。
ぱ、とそれを思いついたのは偶然である。

***

最後の二人組みと写真を撮った後、クラウン・クラウンは道に背を向けてトランクに道具をしまっていた。
さて次はどこで演るか…と、フリーの気軽さで場所をいくつかリストアップする。
その肩を軽く叩かれる。
商売道具のトランクの中身をじっくり見られる前に慌てて蓋を閉めて、のけぞるような大げさな動きでトランクを守ろうとするマイムを見せる。
その動きに小さく笑ったのは紙袋を抱えた男。
さっきのショーの客。クラウン・クラウンは思い出す。
そこそこに…実をいうとかなり…いじりやすそうだったためショーに強制出演願おうかと思ったのだが、荷物を抱えていたのでやめたのだ。

「えーとピエロさん?こういう仕事って個人で頼めるんですか?」

人懐こそうな顔で問いかけられて、クラウン・クラウンは二回首を縦に振る。
ピエロと呼ばれると即座に訂正したくなるのだが、今はクラウンの格好で往来である。
この格好で、なおかつこの場所では喋りたくない。誰がどう思おうとイメージ重視のつもりだ。

「相場ってどのくらいなのかなあ?」

そう聞かれると返答に困る。イエスでもノーでも返せない。
代わりに革のヒップバッグの中から名刺を一枚取り出して男に渡した。
男がそれを見ている間に、そそくさと片付け途中の鞄を抱えてそっとその場を離れる。

「あ…。」

男が気付いて声を上げるのを聞きつけ、振り返らずに白手袋の手を振った。

***

【ストリートパフォーマー

  Crown.Clown

URL:---------   】

手の中の名刺はごくシンプルなもので、そこにプリントされた朱色の王冠だけが華やかだった。

「こういうのってネットでやりとりするのが主流なのか?」

かいのしんが何気なく裏を見ると、手書きで電話番号が書いてあった。
それとおそらくかけて良いと思われる時間帯も。
手書きなのは何でだろうと考えかけてふと気付く。

「仕事用か。なるほどね。」

ファンが付いたとして、そんな彼らだか彼女らに個人的な電話番号をプリントした名刺を配れば結果は火を見るより明らかだ。
手書きされた時間まではかなりあったため、かいのしんは名刺をポケットに押し込んで店へと歩き出した。

***

趣味を一切排した着信音が鳴った。この音は仕事用。
仕事用の名刺を渡したこともあり外回りは短めに切り上げ、部屋で道具の手入れをしていたクラウン・クラウンは携帯に手を伸ばした。

「クラウン・クラウンでゴザイマス。」

『あーえっと、昼間声をかけた男なんですけど…紙袋の荷物持った…』

「ハイ、覚えてオリマス。ご用件はお仕事の依頼デショウカ?」

『そうなんですけどその前に相場をちょっと…』

「そうでゴザイマスネ、場所と内容に寄りマスガお安くしておきマスヨ。大体―」

『え、そんな安いの?!』

驚いた声が少し大きく響く。
まあこの値段で雇えるのはオレくらいだけどーなどという本音は隠して丁寧に接する。

「ハイ。ワタクシまだ駆け出しデスノデ。」

『今週末とか頼めますか?時間は~…』

今週末、確か予定なし。
手帳を繰りながらクラウン・クラウンは話を詰めていった。

***

「はい、着きましたよっと。」

そろそろ薄暗くなり始めた中、クラウン姿で店を見上げる。多国籍というか無国籍料理店だという話だった。
裏口へと続くらしい道が横に細く見つかる。
店内だから広さの必要なパフォーマンスは無理、危険があるもの・下ネタNG、客いじりは慎重に。
注意事項を反すうしながらトランクを抱えて裏口へ回る。
勝手に開けて入ってくれと言われたのでその通り勝手に開ける。ごく短い廊下と三方向に入り口。
右手のドアのない入り口から厨房のせわしない音が聞こえる。中を覗く。

「お呼びのクラウン・クラウン参上イタシマシタ。」

空気の流れを察して振り返ったこの店のオーナーである紙袋の男、かいのしんに頭を下げて、クラウン・クラウンはにこやかに手を振ってみせた。

***

営業時間を過ぎて客もいなくなり、あれほど狭く感じた店内が妙に広い。
今日はいつにも増して賑やかだった、とかいのしんが表を閉めて店内に戻ると、カウンターに「賑やか」の原因が突っ伏していた。

「ご苦労様ー。」

声をかけると、ぴくりと動いた頭がなんとか五センチくらい持ち上がって、落ちる。
ゴン、と軽く額だかどこだかをぶつけたような音がした。

「お、お疲れサマでゴザイマス…。」

再び突っ伏した頭の下の方からやっと、という感じの声が聞こえる。
かいのしんは隣の席に座り、後頭部にちょこんと乗っている帽子を指先でつつく。

「大丈夫?」

「思ったよりどえらくハードでゴザイマシタ…。」

「んー、でも大いにウケてたよ~。」

それは確かである。
パントマイムを主として簡単なマジックやバルーン、挙句の果てにウェイター役までこなしてみせた道化師に客は大喜びだった。
かいのしん自身も面白かったと思う。

「この仕事料ならうちでもそれなりに呼べそうなんだけど、またお願いしてもいいかな?あ、それから余り材料で何か作るから食べていってよ。」

「…ご好意に感謝、でゴザイマス。」

クラウン・クラウンはかいのしんが座っている側の手を上げると、軽く握る。
白手袋に包まれた指先にパッと魔法のように小さな花が出現すると、それをかいのしんに渡す。
そこから繋がっていたらしい小さな小さな万国旗をするすると手の内から引き出すと

「感謝の気持ちを現すモ、今はコレが精一杯。」

と後半どこかで聞いたようなセリフを呟いて小声で笑った。



kainoshin-crownclown.jpg
C.Cの帽子に挟んである札はおひねりです。さすがに店のお金をネタには…!
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さめ宗家めぐ

クラウンさんとのしんの絡み小説執筆、ありがとうございました!!
私の捧げるだなんて勿体ない…感謝せずにいられません♪
のしんのお店の広さとか店名も、何の設定もないのに、お店が見えましたよ!
週末や休前日に、こういう企画やっていくのは、アリですよねー^^
万能なクラウンさんお目当てのお客さんも、沢山来店してくれそうです。

挿絵素敵ー♪今回も、いただいて平気かしらー(図々しくw
素敵な作品なので、諸々落ち着いたら、紹介させていただきたいのです><
頂き物最近溜めてしまっていますが、企画絵終わったら紹介したいと思って
しまってあるのです。
自分の企画絵と勘違いされたらいけないので(色々な人見に来るもので;)。

小説拝読しまして、元気をいただきましたー。これから企画絵描きます♪
とにかく、ありがとうございました!長々と失礼しました。
by さめ宗家めぐ (2009-09-20 22:34) 

ヤシロ

あ。
ご報告に行くのを忘れていました…すみません★

どのくらい広いのかなーと思い、でも個人店だしそうは…などと勝手に捏造しながら書いておりました。
そのうち店名くらいは教えて下さい!(笑)

どうぞー。捧げ物ですので遠慮なさらずに煮るなり焼くなり(ぐいぐい)。
頂き物って出すタイミング結構難しいですよね!
企画始めた途端にどどっと頂いたり、フリイラが出てたり。己のタイミングの悪さを呪いますよ。

企画絵、がんばってくださいね♪
よそのお子さまながらとても楽しみにしておりまする~。
by ヤシロ (2009-09-21 00:26) 

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